自律神経失調症の前兆をアップルウォッチのVO2Maxが検知した

自律神経失調症が再発しないように Fitbit の活動量計を購入してから 5 年。
数々のデバイスのレビューを通じて機能や性能の評価はしたものの、本来の「心臓発作の再発防止」という目的はいつの間にか忘れ去られていました。
しかし 2023 年末、継続的な筋トレの疲労により心臓発作の前兆が再発。久しぶりに恐怖を感じました。
ただし前回とは異なりアップルウォッチで生体データをとっていました。後で振り返るときちんと兆候を示すデータがとれていました。
この記事では私が今回経験したこと、アップルウォッチの最大酸素摂取量が病気の前兆をつかんでいたこと、今後の対策などをまとめました。
私の経験が少しでも誰かの役に立てれば幸せです。こんな経験もうしたくありません。
筋トレで心臓発作の前兆が再発
2023 年の春から筋トレ(ウェイトトレーニング)を始めました。
ケトジェニックダイエットとファスティング(断食)で体重は落ちたのですが、体重を維持するためには厳しい食事制限が必要でした。
この先何十年も食べたいものを我慢して生きるのはつらい。だったら筋肉をつけて食べても大丈夫な体にしたい。
もちろん暴飲暴食していいわけではなく炭水化物がおいしく食べられるようになりたいだけです。体質改善したくて筋トレを始めました。
信頼できそうな書籍や Youtube 動画を見ながら見よう見まねで家トレ。最初は 5 kg のダンベルからスタート。 2 か月後には 20 kg の可変ダンベルを買いました。トレーニング内容については省略します。
順調に重量が伸びてきた 2023 年 12 月、左肩のショルダープレスの挙上回数(レップ数)が伸びるどころか減ってきました。右肩は回数が伸びていたので最初は「変だな?」という感じでした。
しかし翌週、左肩の回数がさらに減ったため「絶対に何かがおかしい」と思って筋トレを中止しました。
その翌日から異変がさらに出ました。筋肉が痙攣したり、外出から帰宅するとソファから一歩も動けない、目を開けない、瞑想中に目がぐりぐり動く。
「これはかつての心臓発作の前兆と同じだ」と久しぶりに死の恐怖を感じました。
振り返ると 11 月中旬にヘルペスによる舌のデコボコ・ザラザラが出ていました。
この症状がすでに生理的疲労のサイン、つまり「筋トレを中止しろ」というアラームでした。ただ自分はそのアラームに気が付かず「お湯を飲んで舌が火傷していた」と勘違いしていました。
その状態でさらに筋トレを続けたので症状が悪化したのです。
アップルウォッチが兆候を示していた
チェックすべきは心拍数ではなく最大酸素摂取量(VO2 Max)だった

ヘルペス以外にも実は兆候を示していました。それが上図に示すアップルウォッチの VO2 Max (最大酸素摂取量)でした。
筋トレを始めてから数か月は VO2 Max の値は上昇、つまり全身の持久力や心肺機能が改善していました。
しかし上図のグラフを示すように 11 月中旬の値 (38.4 mL/kg/min) の次、月末に値が一気に下がっています (36.6 mL/kg/min).
値が下がっていることに気がついていましたが、それと自分の症状がリンクしていることがわかりませんでした。
VO2 Max と自分の自律神経状態に関連があると確信したのはベータアラニンで体調が回復していることを実感できるようになってからです。
ヘルストラッカーのレビューを始めて 5 年以上経過し、幸か不幸か今回の症状再発によってついに兆候を見つける機能を見つけることができました。レビューの目的は達成です。
ここまで細かく VO2 Max を計測できるのはアップルウォッチだけです。
このような症状再発を防ぐためには心拍数を常時計測でできないか?と考えて 2018 年に Fitbit Alta HR を最初に購入しました。これがヘルストラッカーレビュー記事を書くことになったきっかけです。
Fitbit や Garmin のスマートウォッチでも最大酸素摂取量の計測機能はあります。もちろんレビューしましたがあくまでも推定値です。アップルウォッチのように細かい違いを示すことはできません。
また心拍数では自律神経失調症の兆候を見つけることはできない。これが私個人のケースでの結論です。
なぜ症状が再発したか生理学的根拠もわかってきた
自律神経失調症はその名の通り自律神経が本来の働きをしない状態を指します。
自律神経の中枢は脳の視床下部というところです。視床下部は呼吸、体温調整、胃や心臓の動きをコントロールします。
私のケースでは心臓が止まったのだから、心臓の動き(心拍数)を測れば脳の状態が間接的にわかるのではないか?という仮説から Fitbit の装着と心拍数のモニタリングを始めました。
しかし違いました。自律神経機能の低下や疲労を教えてくれたのは「呼吸」でした。 VO2 Max は酸素摂取量の計測なので呼吸の状態もわかります。
心拍数をコントロールする心臓はある種の筋肉ですが不随意筋です。一方、呼吸をするために肺を動かすのは横隔膜という随意筋です。
不随意筋は自分の意志で動かせない筋肉、随意筋は自分の意志で動かせる筋肉。自律神経はどちらにも関与していたのです。
肩の筋トレパフォーマンスの低下、歩くスピードの低下(脚の筋肉が動かせない)、目が開けない(まぶたの筋肉が動かせない)、呼吸回数(横隔膜動作)の低下による VO2 Max 値の低下。どれも随意筋が無意識に動かせなくなってきている。これが自分の自律神経失調の前兆をとらえるポイントでした。
この時点では不随意筋に影響はないですが、前兆をとらえずに放置しているとさらに疲労とストレスが蓄積して不随意筋もコントロールできなくなる。 2018 年の心臓発作はまさに過労死のシグナルだったのです。
ウェイトトレーニングは筋肉の疲労ばかりが注目されます。しかし筋肉を動かすように指令を出すのは脳です。重い重量を無理やり動かすことで恐ろしいほどの負荷が脳にもかかっていたのです。目には見えませんが確実に自分の体を蝕んでいました。
筋肉だけでなく脳も回復させないとうつの症状がでます。この状態を「オーバートレーニング症候群」と定義して各所が注意喚起しています。
外部リンク:オーバートレーニング症候群とは | 公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
プロ野球の川崎宗則氏やダルビッシュ有氏が、ある日体が動かなくなったことを証言しています。ダルビッシュ氏は「おそらく有明で始めた筋トレが原因ではないか」と動画で言及しています。
Youtube の一部筋トレ界隈ではオーバーワークといってもてはやされています。しかしオーバートレーニングはとても危険なことなのです。
回復するためのポイント
自律神経失調の兆候を見つけることはできました。しかし放置せずに手を打って回復しないといけません。
前回の発作から数年経過しており、その間にも多くの研究者の皆様が新しい知見を示してくれました。自分が実践したことをまとめます。
栄養は鶏むね肉+ベータアラニン

鶏むね肉に含まれるイミダペプチド(カルノシン)に疲労回復効果があり、私自身 2018 年の心臓発作直後に鶏むね肉を一か月間食べまくって体調を回復させました。
今回症状が出る前は毎日 100 g の鶏むね肉を食べていました。しかし筋トレの疲労蓄積スピードが速すぎて鶏むね肉を食べているだけでは回復が追いつきませんでした。
幸い今回は年末休暇で 2 週間仕事を休めたので筋トレを中止。毎食 100g の鶏むね肉を食べて外出もせず回復に専念、 2 週間で改善はみられました。
さらに偶然にも、近藤一博先生が『疲労とはなにか すべてはウイルスが知っていた』という本が出版されて読んだところ「ベータアラニンが疲労回復に根拠がある」と解説されていました。
ベータアラニンはイミダペプチドの構成物質です。必須アミノ酸のヒスチジンとベータアラニンが結合することでカルノシンになります。
つまりイミダペプチドでとらずヒスチジンとベータアラニンを別々に量を多くとった方が回復が速いのでは?という仮説が生まれました。
しかもベータアラニンは運動パフォーマンスを上げるエビデンスがあるサプリである、と国際スポーツ栄養学会のお墨付きを得ています。そのため上の写真に示すベータアラニンのサプリを購入して試してみました。
摂取量は 2.5 g を朝と夕方に 2 回、計 5 g を水に溶かして飲みます。研究論文では 12 g/day を摂取させていることもあるので 5 g であれば副作用のリスクは低いと判断しました。
体感的には仮説が当たりました。同じ 2 週間でも鶏むね肉 300 g/day よりも回復が速いと実感しました。
さらに前掲のアップルウォッチで計測した VO2 Max のグラフを見ると、回復が著しく速いことがわかります。鶏むね肉でも回復は実感しましたがこれほど速くは回復しませんでした。
一か月ベータアラニン 5 g/day を継続したところ VO2 Max の値が 40 を超えました。アップルウォッチで VO2 Max の計測で初めて最高値を更新しました。
個人の感想ですが、脳の認知機能も改善している実感があります。ここ数年良くなかった睡眠の質も改善し 30 代のころのような深い睡眠も出るようになってきています。
多くの研究者の方々の日々のたゆまぬ活動には感謝してもしきれません。また近藤先生には一生足を向けて眠れません。
関連記事:イノチメシ:脳疲労と向き合い命をつなぐ男のズボラ鶏胸肉料理
寝る・動かない・歩かない
現在は日常生活を送るのに問題ないレベルにまで回復し、筋トレも頻度と種目を減らして再開することができました。
しかし油断しているとすぐに疲労の兆候がでます。眼精疲労、口の端が切れる(口角炎)、疲労感など、身体は素直にシグナルを出してくれます。
そういう時はもう休むしかありません。休日ならソファでごろごろする、少しでも目を閉じる時間を増やして音楽を聴く、外出しないなど対策が必要です。
特に歩くという行為は筋トレ後の疲労蓄積に追い打ちをかけます。トレーニングの脳疲労はその日だけでなく翌日にどっと出るので次の日の休息がむしろ重要なほどです。
歩くことは負荷の小さい筋トレであり、脳が随意筋を動かす活動という点では共通しています。歩くのは一般的に健康に良いとされていますが、筋トレをしている場合はむしろ逆効果でストレスを増やします。
トレーニング翌日に買い出しなどで歩いて VO2 Max を計測すると、必ずしも高い値が出ない時があります。
アップルウォッチはわずかな疲労感すら計測していて驚くばかりです。アップルの本気を感じます。
休日にゴロゴロするのは良くないのかもしれませんが、トレーニングしている人はむしろ積極的に休むべきです。
幸いにも今はリモートワークもあります。トレーニング翌日はリモートワークにして家から出ないようにすることで少しでも回復を速めることが期待できます。
脳が疲れる以上リモートワークでも疲労を感じますが、歩く負担よりは軽いようです。
日常の兆候管理で注意すること
最大酸素摂取量は常時計測しない
アップルウォッチの VO2 Max 測定機能がもう手放せません。しかしアップルウォッチにはまだ改善点もあります。
VO2 Max は心拍数のように常時計測しません。最低 20 分以上のワークアウトをセットしないと計測してくれません。
以前は 5 分程度のワークアウトでも推定値を出してくれました。最新版のソフトでは変わってしまったようです。
そのため VO2 Max の計測は週一回の買い出し時のみとなっています。それ以外で 20 分以上歩くことは日常生活でないからです。
また筋トレとは別に有酸素運動で 20 分以上歩いても自分にとっては疲労を増やすのでエクササイズ効果を期待できません。
もっと手軽に計測できるようになってほしい。切に願います。
回復に時間をかける/時間がかかる
疲労は蓄積されると一晩で回復しません。自律神経失調の症状が出た場合は最低一週間、できれば二週間、場合によっては一か月以上の休息が必要です。
仕方ありませんが自分自身体験したことです。二週間休むと明らかに回復していることを実感します。
これはおそらく脳細胞の生まれ変わり(ターンオーバー)が関係していると思われます。
かつては脳細胞は生まれ変わらないと言われていました。しかし最新研究によれば一部を除いて脳細胞も生まれ変わることがわかってきています。
脳全体の生まれ変わりでなくても、一部の細胞、特に重量 4 g と言われている視床下部の脳細胞のターンオーバー目安が二週間であれば体感と一致します。
この生まれ変わりで出てくる新しい脳細胞にカルノシンを投入することで、疲労回復や認知機能改善が行われると推測しています。
現代人は原始人と比べて肉体も脳も酷使しすぎなのでしょう。体の回復機能が進化できてないと思われます。
再発予防のため「足るを知る」
症状が消えて回復したとしてもまた同じことをしていたら再発します。
筋トレもダイエットも生活習慣そのものです。継続することで効果がでます。そのためには生活習慣を見直す必要があります。
今回オーバートレーニング症候群を自覚した以上、筋トレのボリュームを減らし、試行錯誤により週 2 回、一回 30 分以内で終わらせるようにしました。
また歩くことも負担になるので外出や旅行の計画も見直しています。旅行をすると一日 2 万歩は普通でした。
そこまで制限すると人生つまらなくなるのでは?と言われるかもしれません。
しかし筋トレで自分の見た目が筋肉質に変わっていき、食事が普通に食べられるようになり筋トレのモチベーションの方が高い状態です。
それより無駄と思える活動を減らしてその時間を家でできること(読書や調べものなど)に費やしても特にストレスにはなっていません。
まとめ
自分の体に当時何が起きたのかようやく原因がわかってきました。また対策もすぐにうてて被害を最小限に抑えることができました。
すべては日々研究されている先生たちのおかげです。気を引き締めて今後はさらに良い健康状態になれるように食事も筋トレも休息もやっていきたいと思います。
この記事をまとめましょう。
- 筋トレ(ウェイトトレーニング)は筋肉だけでなく脳への負担も大きい。回復を待たずにトレーニングを続けるとオーバートレーニング症候群というある種のうつ/自律神経失調になる。
- 自律神経失調の兆候はアップルウォッチの最大酸素摂取量 (VO2 Max) で見つけることができる。心拍数計測では前兆を見つけることはできない。私のケースは自律神経がかかわる随意筋(呼吸、歩くなど)のパフォーマンス低下が兆候管理のポイントだった。
- 疲労回復には鶏むね肉だけでなくベータアラニンが医学的根拠として示されている。試してみたところ確かにベータアラニンは鶏むね肉単体よりも回復が速い実感があった。
- アップルウォッチの VO2 Max 測定には 20 分以上のワークアウトを設定が必要。常時計測しないので注意。
- 回復には時間がかかる。栄養をしっかりとり、かつ外出しないなど家でゴロゴロして回復に専念させることも重要。
※この記事のデータ測定結果は診断結果ではありません。データを過信せず不調を感じた際にはかかりつけ医に相談してください。
【おすすめ】各社ヘルストラッカーの健康管理機能をレビュー【比較】

スマートウォッチ(活動量計)の普及により、より手軽に健康状態を把握できる環境が整ってきています。
まだまだ改善課題はあるものの、センサー技術の向上のおかげで今までより小さいデバイスでも同じ機能を実装できるようになりました。そのひとつがスマートリング(指輪型)です。
スマートリングにはこのようなメリットがあります。
- 腕時計よりも小さいため手軽に健康管理を始められる。
- 目立たないためファッションの一部としてさりげなく取り入れることができる。
この記事ではスマートウォッチとスマートリングでどの程度健康管理ができるのか?レビューしたまとめページです。
歩数や心拍数以外にも多くの機能が実装されていますが、実際にどれが使いやすいのでしょうか?
結論としては、アップルウォッチを使うのがベストです。アップル社は心電図計測機能や心房細動の警告機能など、ヘルスケア領域への投資と開発に本気を感じます。
以下にレビュー結果の表をまとめたので詳細を順次説明します。
比較結果:どの製品も一長一短
このレビューでは Apple Watch (Series 8) と各製品を個別に比較しました。上の表はその比較結果です。
統計解析も実施しましたが、良いか悪いかはあくまでも主観的な評価になります。表をぱっと見ても Apple Watch が一番お勧めなのが伝わるでしょうか。
このレビューで比較した項目は下記のとおりです。
- 歩数 (Steps)
- 安静時心拍数 (RHR: Resting Heart Rate)
- 心拍変動 (HRV: Heart Rate Variability)
- 呼吸数 (Respiratory Rate)
- 血中酸素 (Oxygen Saturation, SpO2)
- 皮膚温 (Skin Temperature)
- 最大酸素摂取量 (VO2 Max)
「非対応」と書かれている項目は、その製品に実装されていないことを示します。
「計測精度の比較はしていない」点に注意してください。精度の比較は医療機器を使う必要があり実質的にレビューできません。
レビュー方法はシンプルです。各項目を一定期間継続的にデータ収集しました。そして Apple Watch のデータと各製品のデータを統計処理して「 Apple Watch と似た傾向を示すかどうか」比較しました。
そしてどちらの計測結果がよりレビュアーの実感(健康状態)に近いかどうかで判定しました。
各製品のレビュー結果を簡単に紹介
Fitbit

Fitbit は私が心臓発作で死にかけた後、回復の過程で睡眠の質をデータで示してくれた恩人(恩デバイス)です。そのため健康管理のメインデバイスとして末永く使っていく予定でした。
しかし Apple Watch と比較した結果、 Fitbit Charge 5 は歩数の測定において一致していることがわかった一方で、皮膚温度と VO2 Max の測定に問題があったことが明らかになりました。また心拍変動や血中酸素濃度についても疑わしい結果が出ました。
レビューの結果、睡眠以外の生体データ計測機器としてはおすすめしていません。
今後の開発課題として、皮膚温度と VO2 Max の測定を改善を提案させてください。オーラリングでは皮膚温の高さから体調不良の可能性を指摘していましたが、 Fitbit では皮膚温に普段との差が出ませんでした。
関連記事:Fitbit Charge 5対アップルウォッチ生体データ比較レビュー
Garmin

Garmin は VO2 Max 計測を早くから導入し生体データ計測技術が先行しているイメージがありました。
Garmin Vivosmart 5 は心拍変動と皮膚温度の測定は非対応です。その他の指標は提供されています。
Apple Watch と比較した結果、酸素飽和度の測定値が低く、呼吸数の計測範囲が狭いことが示されました。 VO2 Max については Garmin は Apple Watch より高い値を示しました。
売りだと思っていた VO2 Max の精度が思っていたのと違うことがわかりました。
デバイス全体的に改善の余地がまだまだあると感じました。
ガーミン社の強みは GPS と連動したアウトドア活用です。登山などの使い方では全く問題ありません。これはあくまでもヘルスケア目的のレビュー結果です。
関連記事:ガーミンVivosmart5対生体計測データ比較レビュー
Oura Ring

Oura Ring はアスリート向けのデータ計測デバイスとして活用が始まりましたが今ではスマートリングの代表製品です。
Oura Ring Gen 3 は VO2 Max を測定しません。そのため推定値で比較をしました。
Apple Watch と比較した結果、歩数と呼吸の測定傾向は両デバイスともに似ていました。その一方で安静時心拍数、心拍変動、血中酸素濃度の測定には違いがありました。
気になったのは、指に装着する Oura Ring は Apple Watch よりも皮膚温度の測定が良い可能性がある点です。
数あるスマートリングの中で生体データを計測したいのであれば Oura Ring は無難な選択でしょう。
なおメーカーによると Oura Ring は左右どちらの手に装着しても問題ないとのことですが、レビュー結果「非利き手(レビュアーの場合左手)」に装着した方が測定が安定していました。
関連記事:オーラリング(左手)対アップルウォッチ生体計測データ比較レビュー
関連記事:オーラリング(右手)対アップルウォッチ生体計測データ比較レビュー
サーキュラーリング

Circular Ring は Apple Watch や Fitbit と同じ項目を測定できるため良い結果を期待していました。
しかし心拍変動、呼吸数、酸素飽和度、最大酸素摂取量など項目では Apple Watch の方がより安定した正確な結果を示しました。
中でも血中酸素については Apple Watch と逆の傾向になるという珍しい測定結果となりました。
着せ替えリングがありファッション性の高さはあるものの、あえて Circular Ring をおすすめしません。
関連記事:サーキュラーリング対アップルウォッチ生体データ比較レビュー
リングコン

RingConn はスタートアップでかなり盛り上がった製品です。呼吸数と VO2 Max は非対応です。
Apple Watch と比較した結果 RingConn は一般的に酸素飽和度が低く、安静時心拍数の測定範囲が広かったです。また皮膚温には Apple Watch との相関は認められませんでした。
リングの装着感などお気に入りのデバイスでありお勧めしたいところでもあります。しかし測定の改善や非対応項目の実装など開発を加速してほしいのが本音です。
関連記事:RingConn対アップルウォッチ生体計測データ比較レビュー
ウルトラヒューマンリング

インド発と思われる製品 Ultrahuman Ring Air です。呼吸数と VO2 Max は非対応です。
Ultrahuman Ring Air は安静時心拍数と皮膚温において Apple Watch と同様の傾向を示しました。安静時心拍数の値はアップルウォッチと差はあるものの、日々のストレスレベルの違いをグラフから判断できそうです。
しかし一方で、心拍変動や酸素飽和度の信頼性に懸念がありました。
生体データ測定とは別の部分での改善が必要です。アプリの使いにくさや充電時間の長さがとにかくマイナスポイントです。
価格は安めですがおすすめはできません。
関連記事:Ultrahuman Ring Air対アップルウォッチ生体計測データ比較レビュー
データ解析のための補足
このレビューにてできるだけ細かくデータを分析するための条件や補足内容を書きます。
日中と夜間の心拍数全数分析は量が膨大になるので省略します。気になった場合のみ取り上げます。
皮膚温は +/- 0.3 度といった形ですでに平均値計算が行われています。そのため統計解析 t 検定の対象外となります。
VO2 Max の比較も参考程度とお考えください。 VO2 Max を正しく計測するにはトレッドミルのような設備が必要です。
またアップルウォッチによる VO2 Max の計測にはワークアウトをセットする必要があります。日々の生活や業務上毎日計測できていません。ただし休日など一日に複数回計測できた場合はその日の平均値を採用します。
VO2 Max の値は安静時心拍数から推定することができます。参考のために推定値の計算結果も比較します。デンマークの研究者グループによる推定方法を採用しました。
外部リンク:最大酸素摂取量 - Wikipedia
各計測項目について、アップルウォッチは夜間のみ計測する項目と、日中/夜間問わず計測する項目があります。両デバイスとも同じ時間帯の計測結果を比較するため、アップルウォッチのデータはダウンロード後に時間帯を取捨選択したうえで集計・分析しました。
特に断りがなければ「歩数」、「最大酸素摂取量」、「安静時心拍数」は同日中 (0:00 - 23:59) のデータを採用します。その他の項目は睡眠中の時間帯 (0:00 – 6:00) に計測されたデータを採用しました。
安静時心拍数についてアップルウォッチの計測は例外的です。一日に何度も計測しているはずですが、他の項目と違い計測結果が個別に記録されていません。そのためその日の最後にヘルスケアアプリで表示されていた結果を採用しました。
まとめ
どの製品にも癖があり、一長一短な点はあります。
しかし心拍変動など、心拍センサーの半導体に依存している部分はどの製品も似た結果になるのが興味深かったです。
機能と値段が比例するのか、本気で健康管理をしたいのであればアップルウォッチをお勧めします。
アップルウォッチはスマートウォッチの中では高い方ですが、ロレックスの腕時計よりは全然安いです。自分への投資としては高くないともいえます。
スマートリングはまだまだ発展途上です。計測精度を気にせずファッションで取り入れる分にはスマートリングも問題ありません。
今後の技術開発でさらに便利になっていくでしょう。引き続きキャッチアップしていきたいと思います。
※このレビューは 2023 年以降順次行っています。最新アプリではこの記事で書かれた内容と相違があるかもしれません。
※この記事でレビューした結果は医療機関による診察に代わるものではありません。身体に不調を感じた場合は必ずかかりつけ医に相談してください。
※この記事で取り上げていない他の製品についてはレビューしていません。あらかじめご了承ください。
UMind Mirror vs Fitbit「睡眠の質」表示比較レビュー

これまで多くの睡眠トラッカーをレビューしてきましたがそのほとんどは腕時計型(スマートウォッチ)か指輪型(スマートリング)でした。
睡眠状態を把握するための本来の計測方法は脳波です。しかし睡眠ポリグラフ検査は医療設備に行く必要があり難しいところです。
この記事では UMind Mirror というスタートアップ製品を紹介します。
上の写真にあるように、 UMind Mirror はボタン型のデバイスです。専用のゲルシートを使っておでこに貼るだけで手軽に脳波計測ができます。ヘッドバンドを使わない分、寝ている間も頭が苦しくないのでデータがとりやすいと期待しました。
このデバイスで睡眠分析ができるのか、 Fitbit と Apple Watch と比較しました。また自分の脳波データを入手して自分で睡眠サイクル分析ができないか試してみました。
結論は、睡眠サイクルは Fitbit より Apple Watch と似た傾向でした。また脳波データは入手出来て解析してみたものの、ノウハウがたりず解析を断念しました。
アプリの機能解説
睡眠分析画面で睡眠状態と身体の動きをチェック

上図は UMind アプリのメイン画面です。
メイン画面には最新の睡眠データが表示されています。画面中の 66 という数字は睡眠スコアです。
この画面で "View the full report" をタップすると詳細画面に移ります。
睡眠スコアの下には睡眠サイクル(睡眠図)があります。このサイクルを分析して睡眠の質をレビューをします。
睡眠ステージは「覚醒」、「レム睡眠」、「浅い(ノンレム睡眠)」、「深い(ノンレム睡眠)」の 4 ステージです。睡眠トラッカーが標準的に扱う 4 項目です。
さらに画面をスクロールすると「姿勢」と「身体の動き」というグラフがあります。
UMind Mirror には加速度センサーが搭載されています。このセンサーで睡眠中の寝返りなどの動きも計測しています。
過去の睡眠の傾向をチェック

過去の睡眠データの記録を振り返るには詳細画面の上のタブを使います。
デフォルトでは「日」が表示されていますが、「週」や「月」に切り替えることで過去の傾向を分析できます。
ただし睡眠スコアの平均値は出るものの、睡眠時間の平均値などは表示しないようです。
正直この機能は使いませんでした。
アプリで睡眠開始を手動でセットする必要がある

スマートウォッチやスマートリングは普段装着して寝るだけで睡眠データの計測と分析をしてくれます。
しかし UMind Mirror は寝るときだけ使うデバイスです。そのため睡眠の開始をアプリでセットする必要があります。
まずはデバイスの電源を入れて Bluetooth 接続を確立します。
上図に示すように "Device Connected" をタップしてデバイスの接続を確認します。そして "Complete" をタップして睡眠開始の手続きをします。
デバイスの性質上仕方ないのですが、この手順があるだけで普段使いのハードルが上がってしまいます。
本当に疲れて眠い日は頭にデバイスを装着してもセットし忘れて寝てしまうことがありました。そういう日こそ質の良い睡眠がとれていそうです。
レビュー方法
レビューをするにあたり、下記に示す方法でデータ収集と分析をしました。結果だけ知りたい人はここは飛ばしてください。
データの取り方

睡眠の質を比較するための判断基準は Fitbit のデータです。過去の経験上、起床後の身体の感覚(すっきりしているか、眠気が残っているか)と睡眠図に最も関連性を見いだせているのが Fitbit だからです。
おでこに UMind Mirror, 左腕に Fitbit を装着していつも通り就寝しました。補足のため Apple Watch Series 8 も Fitbit と同じ左腕に同時装着しデータ収集しました。
起床後アプリでデータを収集し、両デバイスの波形を比較しました。その結果を解説します。
計 24 日分のデータ収集しました。
睡眠の質を評価するポイント
医師が書いた睡眠に関する本や私が Fitbit で計測した睡眠データから、睡眠の質をチェックするポイントは以下の 3 つに整理しました。
- 「覚醒」から「最初の深い睡眠」に入るまでの時間は短いほど良い (30 分以内が目安)
- 最初の深い睡眠は 20 分間以上あることが望ましい
- 睡眠中の途中覚醒回数は少ない方が良い
1 番が最も重要で、番号順に優先順位は下がります。各項目の詳細と根拠については下記の補足説明をご覧ください。
関連記事:補足:睡眠の質をチェックする3つのポイント(各社の活動量計の睡眠管理機能を徹底レビュー)
睡眠サイクルの比較結果
Fitbitとの比較結果

上図は代表的な睡眠サイクルの比較結果です。 UMind Mirror のグラフをグレースケールにして Fitbit のグラフを上に重ねています。横軸が一致するように時間軸は調整済みです。
UMind Mirror の睡眠サイクルを分析するとこのような判定になります。
- 最初の深い睡眠まで 20 分 (30 分以内が良い) → 〇
- 最初の深い睡眠が 5 分間 (20 分間以上が良い) → △
- 中途覚醒 1 回 → 〇 (判定の優先順位は低い)
- 睡眠の質の総合評価 → △
一方 Fitbit は入眠後 2 分で深い睡眠に到達し、しかも深い睡眠が 22 分間続きました。睡眠の質の判定は 〇 です。
UMind Mirror と Fitbit で判定が割れています。脳波の計測が正しければ Fitbit の結果が違うことになります。
レビュー期間全体を通じて睡眠の質の判定が一致したのは 40 % 程度でした。 UMind Mirror と Fitbit の睡眠の分析が一致していない感じです。
Apple Watch とも比較したのでその結果も考慮してみましょう。
Apple Watchとの比較結果

上図は Apple Watch と UMind Mirror の睡眠サイクルの比較結果です。先ほどの Fitbit の比較と同じ日の睡眠データです。
Apple Watch の睡眠サイクルから質を判定するとこのようになります。
- 最初の深い睡眠まで 12 分 (30 分以内が良い) → 〇
- 最初の深い睡眠が 13 分間 (20 分間以上が良い) → △
- 中途覚醒 3 回 → × (判定の優先順位は低い)
- 睡眠の質の総合評価 → △
判定結果は UMind Mirror と同じです。この日の睡眠の質は良くも悪くもなく中途半端な結果でした。
ただしグラフを見た感じ、 Apple Watch のサイクルは全体的に UMind Mirror と似ている感じでした。
例えば上図に示すように、レム睡眠 (REM) の発生頻度や発生場所が UMind Mirror と似ています。 Fitbit は最初のレム睡眠を検出していません。
レビュー期間全体を通じた睡眠の質判定は 〇 が約 54 %, △ が 33 %, Fitbit よりも良い結果でした。
客観的な比較ではないものの、レビューを通じて Apple Watch と UMind Mirror が似た傾向の睡眠分析をすることがわかりました。
それであればわざわざ頭にデバイスを装着して寝なくても Apple Watch で睡眠管理すればよいのでは?というのが結論です。
頭に機器を装着することへの違和感がどうしても取れません。より高い精度の睡眠分析を希望したければ医療機関に行くべきでしょう。
腕時計を装着して寝ることは習慣化しています。一般利用であればこのスタイルを普及すべきでしょう。
開発者向け機能
開発者ツールが提供されている

UMind アプリは iPhone, Android の両 OS で提供されています。
このメインアプリとは別に開発者向けの SDK アプリが Android のみ提供されています。上図の画面はこの SDK アプリの画面です。
UMind Mirror を Bluetooth で接続すると信号強度や身体の動き、姿勢(加速度センサー)などのデータがリアルタイム計測できます。
ただこのアプリはリアルタイム計測のみで記録がとれません。また脳波データは表示されません。
自分の脳波データを解析してみたかったのですがこのアプリはできませんでした。
独自で睡眠データ解析もやってみたが何もわからず

今回は Android スマートフォンでデータを取ったので、日々の記録がファイル保存されている場所を見つけることができました。
一晩分のデータが 1 フォルダに収められており、バッテリー残量や体の動きなどのデータが個別に保存されていました。
そのうちバイナリファイル (Eegdata.bin) が脳波だとわかったので、メーカーに問い合わせして脳波データの取り出し方法を確認しました。
この脳波記録は 1 秒間に 256 点の脳の信号の電圧を記録していました。そのため上図に示すように FFT で 128 Hz までのスペクトラム解析ができました。
脳波には α 波, β 波など周波数帯域からリラックス状態や緊張状態がわかるとされています。このパターン解析で自分で睡眠サイクルの分析ができないか試しました。
外部リンク:睡眠時脳波 - Wikipedia
結論は、自分のスキルでは睡眠サイクルの分析はできませんでした。
理由はいくつかあります。
- 医療設備で使う脳波計は電極の数が多く、周波数から睡眠サイクル分析をするにも複数の観測点の脳波を複合的に判断している。一方 UMind Mirror は一か所測定のみでデータが限定的。
- UMind Mirror は身体の動き、姿勢も含めて総合的に睡眠サイクルを判定している。そのノウハウがこの企業の強みであり個人で解析するにはノウハウが足りない。論文はあるかもしれないが労力に対して得るものが少ないと判断。
- 一晩分のデータ量が膨大すぎて解析に時間と手間がかかる。 Python コードを自分で書いてある程度解析してみたが、ノウハウが足りないので睡眠ステージに変換できるプログラム開発がいつ完成するか見えなかった。
以上の理由から自分で睡眠サイクル分析は断念しました。
まとめ

これまでレビューしてきた中で、頭に装着するデバイスの中では最も手軽で素晴らしいデバイスです。
しかし頭に装着することへの違和感が最後までなくならず、ちゃんとしたデータが取れる自信がありませんでした。
Youtube で脳波も使った睡眠サイクルの比較をやっている人がおり、すでに Apple Watch がかなりの高精度であることを報告しています。そのため自分で脳波を測ったレビューはやらなくてもいいのかもしれません。
この記事をまとめましょう。
- 脳波を使った睡眠状態の計測は本筋であり UMind Mirror は頭に装着するデバイスの中では最も手軽に使うことができる。しかし入眠前に睡眠計測開始操作が必要など制約もありデータの収集が難しかった。
- おでこにデバイスを装着することに最後まで違和感があった。その結果良い睡眠もとれなかったと思われる。一般利用を想定すると、腕時計型デバイスを装着して寝る方が普及しやすいと思われる。
- 睡眠サイクルを比較したところ、 Apple Watch と UMind Mirror で似た傾向だった。それであれば手軽に計測できる Apple Watch を日常使いでおすすめしたい。
- SDK 機能付きで脳波のデータから睡眠ステージを割り出す試みをしたがノウハウが足りず断念した。
外部リンク:UMind Mirror: Smartest EEG Brainwave Wearable for You - Kickstarter
まとめページ「睡眠はどうやって計測されるの?トラッカータイプ別にしくみを解説」に戻る
※このレビューは 2023 年 8 月から 9 月にかけて行いました。最新ソフトではこの記事で書かれた内容と相違があるかもしれません。
※レビュー時点での UMind Mirror Firmware Version: 2.14.0
※この記事のデータ測定結果は診断結果ではありません。データを過信せず不調を感じた際にはかかりつけ医に相談してください。
【おすすめ】各社スマートリングの睡眠機能をレビュー【比較】

テクノロジーの進歩によりセンサーが小型化し、より高機能な製品をより小さく実現することができています。
睡眠分析は心拍数計測と同じくスマートウォッチが先行して搭載していた機能です。しかし近年ではスマートリング(指輪型デバイス)でも搭載できるようになりました。
この記事はスマートリングの睡眠分析機能のレビュー結果をまとめたページです。あなたにピッタリの一品をお勧めできれば嬉しいです。
スマートリングにはこのようなメリットがあります。
- 腕時計よりも小さいため手軽に健康管理を始められる。
- 目立たないためファッションの一部としてさりげなく取り入れることができる。
このようなメリットから私自身スマートウォッチの代わりに導入したいのが本音です。しかし睡眠分析の精度としてはまだまだ改善が必要です。
比較結果:絶対おすすめといえる一品はまだない
上図表はこれまでレビューしてきたスマートリングの仕様と比較表です。
この中でおすすめするなら Oura Ring か RingConn です。しかし決定的に優位な機能を持っている製品はないといえるのが現状です。
スマートリングをレビューすればするほど、アップルウォッチが健康管理デバイスとして他の追随を許さないレベルで作りこみされているのがわかります。
次節以降は各製品のレビュー結果の概要を紹介します。
上の図表はこのような項目で評価しました。
- 睡眠サイクルの表現:睡眠サイクルの表現方法が折れ線グラフか、または棒グラフか。医学的な表現としては折れ線グラフがよく使われる。
- 睡眠ステージの数:睡眠サイクル内で表現される睡眠状態の数。レム (REM) 睡眠やノンレム睡眠(浅い睡眠、深い睡眠)などがある。この数が多いとより細かい睡眠分析をしていると考えられる。
- 睡眠スコア表示:アプリが算出した睡眠結果の採点機能。〇×はこの機能があるか/ないかを意味する。高得点を取るほどよく眠れたことをアプリが教えてくれる。このレビューではスコアの算出方法がわからないため睡眠機能評価に使わない。
- 各睡眠ステージの割合表示:各睡眠ステージが睡眠時間全体のうちどの程度あったかを表示する機能。〇×はこの機能があるか/ないかを意味する。
- 週平均の睡眠時間表示: 1 日の睡眠時間だけでなく、 1 週間の平均睡眠時間を算出・表示する機能があるか/ないか。
- 睡眠図と心拍数の重ね合わせ:睡眠サイクルに睡眠中の心拍数のグラフを重ねて比較表示する機能があるか/ないか。
- 睡眠図と腕の動きの重ね合わせ:睡眠サイクルに睡眠中の腕の動き(加速度センサー)のグラフを重ねて比較表示する機能があるか/ないか。
- 睡眠図のシェア機能:睡眠サイクルを画像としてシェアする機能があるか/ないか。
- 睡眠サイクルから質の確認【最重要】:計測した睡眠サイクルから睡眠の質をチェックできるか。 3 つのポイント(補足を参照)を使って「良く眠れたかどうか」を確認できるか。
各製品のレビュー結果を簡単に紹介
オーラリング

フィンランド発の Oura Ring (オーラリング)です。
基本的な睡眠パラメーターの測定、睡眠ステージの確認や調整、昼寝の自動検出、グラフを通じた過去のトレンド確認など十分な機能を提供しています。
Oura Ring はスマートリングの最古参で開発実績とデータが十分に蓄積されています。その歴史の中で睡眠分析機能の大幅アップデートが近年ありました。
睡眠サイクルを Fitbit と比較した結果、 Gen 2 は約 70% の信頼性を確認した一方、 Gen 3 は大幅アップデートによる改善が見られませんでした。 Oura Ring と Fitbit の間で睡眠ステージの検出にいくつかの不一致があり、特に睡眠中の覚醒検出に課題が残っています。
結論としては、 Gen 2 モデルは「かなり良い」、 Gen 3 は最新モデルですがそれほど推奨していません。バッテリーが 4 日間持つため、日々の健康状態を手軽にチェックすることができます。
実績のあるデバイスなので将来的な改善を期待しています。特に睡眠中の覚醒検出精度の改善が求められます。
関連記事:Oura Ring vs Fitbit 「睡眠の質」表示比較レビュー
サーキュラーリング

フランス発のスタートアップが製造したスマートリング、 Circular Ring (サーキュラーリング)です。
睡眠分析、歩数計算、心拍数、呼吸数、血中酸素レベルのモニタリングができます。またリングカバーは取り外し可能で色を変えてファッションできる、欧州らしいデザインです。
Fitbit と睡眠サイクルを比較した結果、 Circular Ring の精度は低いと言わざるを得ませんでした。浅い睡眠だと感じた日でも深い睡眠を過剰に検出することがしばしばありました。起床時間と睡眠時間を比較的正確に記録していましたが、異常に早い時間に睡眠を記録した例もありました。
レビューした時点ではおすすめできる製品ではありません。大幅な改善が求められます。
初期リリースでは防水対策すらしてなく軽く物議をかもしました。また注文したサイズよりも大きいものが到着し、欧州品質のサービスをまざまざと見せつけられました。
ファームウェアの更新頻度も少なく本当に今後改善されるか疑問が残ります。
関連記事:Circular Ring vs Fitbit「睡眠の質」表示比較レビュー
リングコン

クラウドファンディング発の RingConn (リングコン)です。
基本的な睡眠管理機能である睡眠スコア、睡眠時間、ベッドで過ごした時間、睡眠効率、睡眠ステージ、過去の睡眠傾向チェックなどを提供します。ただし睡眠中の呼吸回数は測定しません。
Fitbit と比較した結果、 RingConn はほぼ毎晩、睡眠を開始した直後に深い睡眠を検出しました。疲労回復の目安になる「入眠直後の深い睡眠」を分析できませんでした。
おすすめレベルとしては Oura Ring に及びません。しかし装着感は良く毎日快適に使うことができました。今後改善されればベストデバイスになる可能性を秘めています。
今後の改善点としては睡眠サイクルの分析機能、睡眠中の呼吸回数測定の実装でしょうか。呼吸数は睡眠時無呼吸症候群かどうか判断するための重要な機能です。
関連記事:RingConn vs Fitbit 「睡眠の質」表示比較レビュー
ウルトラヒューマンリング

インドメーカー発の Ultrahuman Ring Air (ウルトラヒューマンリングエアー)です。
基本的な睡眠管理機能、過去の睡眠傾向の分析、睡眠中の心拍数や血中酸素濃度などの生体データ測定を備えています。ただし睡眠中の呼吸回数は測定しません。
Fitbit と比較したところ、 Ultrahuman Ring Air は深い睡眠段階を過剰に検出する可能性がありました。睡眠サイクルそのものは Fitbit よりも Apple Watch の結果と似ていました。
全体的に Oura Ring や RingConn ほどのおすすめができません。ハードウェアとしての装着感は問題ないですがアプリが直感的に使いにくいです。
主な改善点としてはバッテリーレベルが低い場合の充電時間の短縮と、睡眠段階検出の精度の向上が挙げられます。
関連記事:Ultrahuman Ring Air vs Fitbit 「睡眠の質」表示比較レビュー
シム

オーストラリア発(?)のリング型睡眠デバイスである THIM (シム)です。
THIM の主な特徴は「睡眠トレーニング」機能で、睡眠の質を向上させることを目指して設計されています。
このデバイスは心拍数を測定するのではなく、加速度計を使用して睡眠状態を分析します。また軽い睡眠中にユーザーを起こすスマートアラーム機能も備えています。デバイスには白いベルトが付属しており、ユーザーの指に合わせて調節することができます。
Fitbit と睡眠サイクルを比較した結果、睡眠ステージに明確な違いがありました。 THIM は深い睡眠をより多く記録し、睡眠中により頻繁に覚醒する傾向がありました。さらに、 THIM の睡眠サイクルはほぼ毎晩似た傾向を示していました。
レビューの結果、 THIM は他のトラッカーとは毛色の違うデバイスでした。睡眠の質を計測するのではなく、日々の睡眠を改善するためのトレーニング機器という位置づけです。
改善点としては、ベルトをより調節しやすくして快適なフィット感をだせるようにすること、睡眠トレーニング機能にはトレーナーからの指導があった方がよいことでしょうか。
関連記事:THIM vs Fitbit 「睡眠の質」表示比較レビュー
まとめ
どの製品も趣向を凝らしており一概に悪いとは言いたくないのですが、機能性を重視するあまり辛口な評価になってしまいました。
ファッション性や手軽さを考えれば今後もスマートウォッチ以外の選択肢として健康管理をサポートする強力なデバイスになるはずです。
あなたにとってベストな製品がこのレビューを通じて見つかれば嬉しいです。
今後ともよろしくお願いいたします。
※このレビューは 2017 年以降順次行っています。最新アプリではこの記事で書かれた内容と相違があるかもしれません。
※良い睡眠がとれたかどうかは必ずご自身の体調や起床後の気分などでご確認ください。アプリの表示は計測結果を保証するものではありません。
※この記事で取り上げていない他の製品についてはレビューしていません。あらかじめご了承ください。
※この記事は睡眠管理機能のレビュー結果を整理したものです。睡眠以外の機能、特にスマートリングの決済機能についてはレビューしていません。
Ultrahuman Ring Air対アップルウォッチ生体計測データ比較レビュー

このシリーズではスマートウォッチやスマートリングの健康管理・生体データ計測機能をレビューしています。
この記事では Ultrahuman Ring Air とアップルウォッチを比較します。
結論はアップルウォッチの良さがわかるレビュー結果となりました。
特に心拍変動と血中酸素では Ultrahuman Ring Air の計測値の信頼性に疑問がありました。一方で Ultrahuman Ring Air の安静時心拍数と皮膚温は相対的な体調の変化を検出できそうです。
統計解析も含めた詳しい比較結果をすべて公開します。
結果を知りたい人はまとめをお読みください。
レビュー方法

デバイスの装着と計測時間
上図に示すイメージでレビューを行いました。
左腕に Apple Watch (Series 8) と Ultrahuman Ring Air (以下 URA と表記) を両方装着しました。左手は私にとって非利き手です。
日中、夜間を通して装着しデータを取り続けました。例外としてシャワー中のバッテリー充電 (18:00 – 20:00), 毎朝の体重計測時など一部非計測の時間帯があります。
約 1.5 か月間 (50 日間) データをとりました。
比較項目とデータ解析ツール
メーカーのアプリを使ってまずは基礎データを集計します。そして私の個人 PC にデータを手動でダウンロードしてさらに細かく分析します。
比較する項目は下記のとおりです。
- 歩数 (Steps)
- 安静時心拍数 (RHR: Resting Heart Rate)
- 心拍変動 (HRV: Heart Rate Variability)
- 呼吸数 (Respiratory Rate)
- 血中酸素 (Oxygen Saturation, SpO2)
- 皮膚温 (Skin Temperature)
- 最大酸素摂取量 (VO2 Max)
外部リンク:ヘルスサイエンス | Garmin (各計測項目の正常範囲などを参考)
URA は呼吸数と最大酸素摂取量 (VO2 Max) を計測することができません。そのため今回の比較の対象外です。
分析のメインは折れ線グラフによる日々の傾向比較です。両デバイスが同じ傾向で計測できているか確認します。
同じ傾向かどうか、統計的には正の相関があるかどうかで判断できそうです。そのため相関係数 R も計算します。
一部の項目は t 検定による平均値の比較も行います。
この記事は論文ではないので本格的な統計処理はやりません。しかし簡易分析でも「両デバイスに有意な(計測の)差があるか」、「日々の計測が安定しているかどうか」といったことが t 検定でわかります。
どちらの計測精度が良いか、といった評価ではなく製品ごとのクセを明確にしたいと思います。
計測精度の観点でいえば、アップルウォッチの精度は良いはずです。アップルウォッチは医療機器認証(心電図のみ)を取得しています。
データの扱い方や解析の補足説明についてはまとめページの項目を参照願います。
関連記事:データ解析のための補足(各社ヘルストラッカーの健康管理機能をレビュー)
グラフによる傾向比較結果
歩数

上図は歩数の比較結果です。
アップルの点と URA の点にずれはあるものの、同じような計測結果になっています。
相関係数 R = 0.981 で正の相関があります。両デバイスともに同じ傾向で計測できています。
ただし他のデバイスよりも各点のずれは大きい気がします。
安静時心拍数

上図は安静時心拍数の比較結果です。
URA の方が明らかに低い値となっています。安静中で 40 台はかなり低いですね。
相関係数 R = 0.717 でかなり高い正の相関があります。
両デバイス間で計測値に差はあるものの、値の高い日と低い日の傾向を同じように計測していることを示しています。
統計解析でもう少し詳しく調べてみましょう。
心拍変動

上図は心拍変動の比較結果です。
URA の計測値はアップルウォッチより低く、かつ毎日同じような値が出ており変化が感じられません。
相関係数 R = 0.213 と低く、相関があるとは言えない結果でした。
他の製品もレビューしてきた経験によると、このようにアップルウォッチ以外の製品は心拍変動の値は低くかつ変化に乏しいです。
心拍変動はストレスレベルを知る指標のひとつです。値が低いほどストレスを抱えているとみなすことができます。
つまり他の製品ではストレスレベルが常に高めと計測されていることになります。これが本当だとすると他社製品は本当にスマートなのでしょうか?
いつも立てる仮説ですが、アップルウォッチに使われている心拍センサーは高精度のものなのでしょう。
血中酸素

上図は血中酸素の比較結果です。
URA の計測結果はほぼ 99 か 100 (%) しか出ませんでした。このレビューの時点にて URA の血中酸素機能はベータ版らしいです。
相関係数 R = 0.016 で相関はありません。 URA はアップルウォッチと同じように血中酸素を計測していないとほぼ断言できます。
血中酸素は睡眠時無呼吸症候群の判断に使う大切な指標です。 URA を日々使うには不安が残ります。
皮膚温

上図は皮膚温の比較結果です。
相関係数 R = 0.402 は弱い正の相関が認められます。これまでレビューしてきた製品の中では相関係数は高いほうです。
アップルウォッチは腕、 URA (スマートリング)は指に装着するので皮膚への密着度が違います。計測に差が出るのが普通だと思っていました。
しかしこのグラフをぱっと見た感じでも、他の製品よりも同じ感じで皮膚温を計測しているのがわかります。

通常、皮膚温は基準値プラスマイナス何度という表示をします。
しかし URA は皮膚温の計測値も表示してくれます。そのためアップルウォッチと比較することができました。
上図は皮膚温の計測値の日々の傾向比較結果です。こちらも似た傾向になっています。
相関係数 R = 0.630 は中程度の正の相関が認められます。
デバイスの装着位置が違うのに同じような計測ができているというのは評価できるのではないでしょうか。
統計処理の結果
難しい話になるので結果だけ知りたい人はここを飛ばして最後の「まとめ」をお読みください。
歩数

上図は歩数の t 検定の結果です。上図は箱ひげ図と呼ばれています。
アップルウォッチと URA で大きな違いはありません。
ただ URA は最大値と最小値がともにアップルウォッチの結果の内側に入り計測精度に何か違いがある感じがします。
安静時心拍数

上図は安静時心拍数の t 検定の結果です。
黒いダイアモンド型の点は外れ値と呼ばれます。平均から著しく外れている値です。
両デバイスともに上側に外れ値が出ています。安静時心拍数の値は高いほどストレスレベルが高いと解釈できます。つまり外れ値はストレスが高かった日だと解釈できます。
統計的に有意差があるという結果がハッキリでました。両デバイスの平均値には統計的な違いがあります。 p < 0.001 という結果は乱暴に言えば「この差が偶然起きた確率は 0.1 % 未満」です。
URA の安静時心拍数の値は明らかにアップルウォッチよりも低く出ました。しかし URA はアップルウォッチと同じように外れ値も出ました。両デバイスが同じ傾向で安静時心拍数を計測していることはすでに解説しました。
そういう意味では「ストレスレベルが高めの日と低めの日」を URA は日々計測してくれそうです。
計測値の正しさではなく、毎日の相対的なストレスレベルの差を URA は教えてくれそうです。
心拍変動

上図は心拍変動の t 検定の結果です。
統計的に有意差があるという結果がハッキリでました。両デバイスの平均値には統計的な違いがあります。 p < 0.001 という結果は乱暴に言えば「この差が偶然起きた確率は 0.1 % 未満」です。
アップルウォッチと URA のどちらも上側に外れ値を検出しています。しかし URA の外れ値はアップルウォッチでは通常範囲内であり異常値ではありません。
日々の傾向分析でも指摘したように、アップルウォッチ以外の製品は基本的に心拍変動の値にばらつきはなく変化の検出に乏しい感じがしています。
心拍変動についてはアップルウォッチの方が信頼できそうです。
血中酸素

上図は血中酸素の t 検定の結果です。
統計的な有意差が出ていますがそもそものデータがおかしいです。
URA の計測値はほぼ 99 (%) だけなので計測値に幅がなく箱ではなく線になっています。 100 (%) という望ましいはずの酸素濃度状態が外れ値(異常値)と判断されています。
URA の血中酸素計測はベータ版とはいえ信頼性に欠けていると言わざるを得ません。
皮膚温

上図は皮膚温の t 検定の結果です。計測結果 (Reading) の値を統計処理してみました。
統計的に有意差があるという結果がでました。 p < 0.05 という結果は乱暴に言えば「この差が偶然起きた確率は 5 % 未満」です。
日々の傾向の比較では両デバイスが似た値を計測していると判断しました。
一方この統計分析結果によると、 URA の計測値はアップルウォッチよりも統計的に優位に低いといえます。
皮膚への密着度が高いはずの指輪なのに体温は低めに計測したということです。腕時計型のアップルウォッチの方が皮膚とデバイス間の隙間ができやすく体温は低めに計測しそうですが、違うようです。
両デバイスともに上側に外れ値があります。皮膚温(体温)が高めということでこの日は身体の調子が悪かったかもしれません。自覚があります。
URA は外れ値が 2 個出ており、皮膚温(体温)が普段より高いことを教えてくれていそうです。言い換えると体温という観点では体調変化が気づきやすいかもしれません。
正直、どちらがより正確なのかはっきりわかりません。 URA にも使うメリットはありそうです。
まとめ
毎日使うのであればアップルウォッチでしょうか。かなり長期間データを取りましたが URA の良い点よりも改善点が目立ちました。
スマートリングはスタートアップ企業によるリリースが多いので仕方ありません。今後の改善を期待したいです。
この記事をまとめましょう。
- 歩数:日々の傾向比較において正の相関がみられ、両デバイスは同様の計測傾向を示していた。しかし URA の歩数計測範囲はアップルウォッチに比べて限られており、個別の計測点でのずれが大きかった。
- 安静時心拍数:日々の傾向比較では URA の計測値が顕著に低かった。その一方で正の相関が認められ、両デバイスは値の高低の傾向を似たように計測していた。 URA は相対的な日々のストレスレベルの違いを示していた。
- 心拍変動:日々の傾向比較では URA の計測値が低く、変化に乏しい結果となった。両デバイス間の相関は低くかつ t 検定の結果統計的な有意差があった。アップルウォッチの方が信頼できる心拍変動データを提供していた。
- 血中酸素: URA の計測値はほぼ 99 % に限定され、両デバイス間に相関はほぼ無かった。 URA の計測機能はベータ版であったものの信頼性に疑問が残った。
- 皮膚温:日々の傾向比較では、両デバイス間に中程度の正の相関が見られ似た傾向の計測をしていた。ただし t 検定の結果 URA の計測値がアップルウォッチよりも統計的に低かった。 URA は上側の外れ値が検出され、高い体温、体調不良の早期発見ができそうな可能性も秘めていた。
関連記事:Ultrahuman Ring Air vs Fitbit 「睡眠の質」表示比較レビュー
まとめページ【おすすめ】各社ヘルストラッカーの健康管理機能をレビュー【比較】に戻る
※このレビューは 2023 年 9 月から 10 月にかけて行いました。最新ソフトではこの記事で書かれた内容と相違があるかもしれません。
※このレビューではアプリは iPhone 版を主に使用しました。 Android 版でも大きな違いはないと想定してレビューしました。
※レビュー時点での Ultrahuman Ring Air Firmware Version: 1.00.04.16 - 1.00.04.32
※この記事のデータ測定結果は診断結果ではありません。データを過信せず不調を感じた際にはかかりつけ医に相談してください。
Ultrahuman Ring Air vs Fitbit 「睡眠の質」表示比較レビュー

このシリーズでは各種スマートリングの睡眠計測・分析機能をレビューしています。
この記事ではインドのメーカーがリリースした Ultrahuman Ring Air (ウルトラヒューマンリングエアー)の睡眠機能をレビューします。
結論からいうと使いにくかったです。詳細は本文にて解説します。
以下では Ultrahuman Ring Air を URA と省略させていただきます。
Ultrahumanアプリでできること
基本的な睡眠管理機能

上図左はアプリのメイン画面です。メイン画面には睡眠スコアや活動内容の概要が表示されています。
詳細をみるには "Sleep Index" をタップします。画面が切り替わると日々の睡眠スコアのグラフが表示されます。睡眠スコアの計算方法は不明のため、このレビューでは睡眠スコアで良し悪しを判断しません。
下にはその日の睡眠データが表示されます。睡眠時間、ベッドにいた時間、睡眠効率、心拍数などが表示されています。各項目が十分な結果かどうか緑や黄色で表示してくれます。
さらに画面を移動すると睡眠中の血中酸素の平均値が表示されます。ベータ版らしいです。
さらに下に移動することでようやく睡眠の状態を示したグラフ(睡眠サイクル)が表示されます。
睡眠ステージは「覚醒」、「レム睡眠」、「浅い(ノンレム睡眠)」、「深い(ノンレム睡眠)」の 4 ステージです。睡眠トラッカーが標準的に扱う 4 項目です。
グラフをタップすると何時から何時までどのステージだったか調べることができます。
過去の睡眠傾向を分析できる

睡眠データの項目をタップすると過去の傾向を分析することができます。上図は睡眠時間の傾向分析の例です。
上図に示すように「日」、「週」、「月」単位で画面を切り替えることができます。画面上部分には平均睡眠時間が表示されます。
このグラフを見る限り、週の平均睡眠時間は 7 時間 35 分、月の平均睡眠時間は 6 時間 52 分。日本人に求められる平均睡眠時間は確保できていそうです。
睡眠以外に計測できる生体データ

睡眠サイクルの画面の上には血中酸素の値が表示されていました。他の生体データの計測結果は睡眠サイクルの下に表示されます。
画面を下にスクロールすると「心拍数」、「心拍変動」、「皮膚温」を確認することができました。
安静時心拍数や心拍変動はストレスレベルの判断に活用できます。皮膚温は体調管理(特に女性の月経周期管理)に活かすことができます。
上図は睡眠中の計測結果だけが表示されています。日中の計測結果や歩数の値は別の画面で確認することができます。
URA には「睡眠中の呼吸数」を計測する機能がありません。睡眠時無呼吸症候群かどうか調べるために重要な項目です。
レビュー方法
レビューをするにあたり、下記に示す方法でデータ収集と分析をしました。結果だけ知りたい人はここは飛ばしてください。
データの取り方

睡眠の質を比較するための判断基準は Fitbit のデータです。過去の経験上、起床後の身体の感覚(すっきりしているか、眠気が残っているか)と睡眠図に最も関連性を見いだせているのが Fitbit だからです。
左手の人差し指に URA, 左腕に Fitbit を装着していつも通り就寝しました。
起床後アプリでデータを収集し、両デバイスの波形を比較しました。その結果を解説します。
計 1.5 か月分 (50 日分)データ収集しました。
睡眠の質を評価するポイント
医師が書いた睡眠に関する本や私が Fitbit で計測した睡眠データから、睡眠の質をチェックするポイントは以下の 3 つに整理しました。
- 「覚醒」から「最初の深い睡眠」に入るまでの時間は短いほど良い (30 分以内が目安)
- 最初の深い睡眠は 20 分間以上あることが望ましい
- 睡眠中の途中覚醒回数は少ない方が良い
1 番が最も重要で、番号順に優先順位は下がります。各項目の詳細と根拠については下記の補足説明をご覧ください。
関連記事:補足:睡眠の質をチェックする3つのポイント(各社の活動量計の睡眠管理機能を徹底レビュー)
睡眠サイクルの比較結果
深い睡眠を過検出している可能性

上図は代表的な睡眠サイクルの比較結果です。 URA のグラフをグレースケールにして Fitbit のグラフを上に重ねています。横軸が一致するように時間軸は調整済みです。
この日は早めにベッドに入りましたが一度トイレで目覚めています。そのため途中から分析を開始しています。
Fitbit のグラフをみると最初の深い睡眠まで 75 分以上かかっています。最初の深い睡眠が 36 分間あるものの、短時間で深い睡眠に到達できなかったため睡眠の質は良いとは言えません。
URA の睡眠サイクルには深い睡眠が早い段階で出ています。評価ポイントを使って分析するとこのようになります。
- 最初の深い睡眠まで 10 分 (30 分以内が良い) → 〇
- 最初の深い睡眠が 10 分間 (20 分間以上が良い) → △
- 中途覚醒 0 回 → ◎ (判定の優先順位は低い)
- 睡眠の質の総合評価 → △
実際には起床後の体の調子を考えても、この日の睡眠の質は良くなかったと判断しています。そのため URA は △ 判定ですが実際にはもっと厳しい結果となりました。
URA は上図のように深い睡眠が過剰に検知されやすい傾向でした。そのため日々の睡眠の質の判断に使うには難しいかもしれません。
アップルウォッチに近い分析をしていた

今回のレビューでは実は Fitbit と Apple Watch の両方を装着していました。ふたつのデバイスでレビューして気が付いた点として、 URA のグラフは Apple Watch の睡眠サイクルに似ていたということです。紹介します。
上図は別の日の睡眠サイクルです。この日もトイレで目覚めているので途中から分析をスタートしています。
URA は途中で目覚める前に一度深い睡眠が検出されています。やはり気になります。
Fitbit は入眠直後に深い睡眠が 41 分間出ています。このグラフが正しければ睡眠の質の判定は ◎ です。
対して URA は 4 分と短く出ています。睡眠の質の判定は × で真逆の判定となりました。

上図は同じ日の睡眠サイクルですが Apple Watch と URA の比較結果です。
Apple Watch は中途覚醒前に深い睡眠が短時間出ています。また入眠後も深い睡眠が 5 分間という短時間の検出でした。 URA と似た睡眠サイクルでした。
ただし URA は 2 時台に中途覚醒がはっきり出ています。 Apple Watch は朝まで中途覚醒なしと分析しています。この日は朝まで目覚めてないはずなので Apple Watch の結果が正しいはずです。
この日に限っては Fitbit の深い睡眠が正しくなかったといえます。 Fitbit も完ぺきではないのでこのような不一致も起きますが頻度は少ないです。
そもそもレビュアーの私自身、歳を重ねてきて深い睡眠が出にくくなってきています。そのためレビューの基礎データがきちんと収集できない懸念も出てきました。
しかし過去の経験から URA の睡眠分析がはっきり良いとは言えないのが今回の結論です。
利用する際の注意点
Ultrahuman アプリはスマートリングだけでなく血糖値センサーやエクササイズ管理のサービスも提供しています。
このアプリについて、不具合がかなり目立ちました。一度、夜間の心拍数データが損失して睡眠データ分析できない不具合も発生しました。
また起床後のデータ収集で Bluetooth 接続が遅い点も気になりました。しかし全体的にはアプリ改善スピードが速く多くの懸念点は改善されました。
唯一おかしかったのは充電でした。 75 % から 100 % の充電は約 1 時間程度でしたが 0 または 20 % から 100 % までの充電が 3 時間以上かかりました。
これは時間がかかりすぎです。他のスマートリングでも基本的にはどれだけ長くても 2 時間でフル充電ができます。
通常であれば 4 日程度連続使用して 1 回充電したいのですが、 URA はフル充電に時間がかかりすぎるので毎日充電していました。スマートリングでこれは使いにくいです。
ハードウェアの問題か充電ソフトの問題かはわかりませんが早急な改善が必要です。
まとめ
Ultrahuman はインド発のメーカーでしょうか。値段は安かったのですが機能的、性能的な改善がまだまだ必要な感じです。
スタートアップ企業の宿命でしょうが、今後の改善を期待したいです。
この記事をまとめましょう。
- Ultrahuman Ring Air は基本的な睡眠管理機能と心拍数や血中酸素の生体データ計測機能を備えている。
- 睡眠分析については深い睡眠がやや過剰に検知されてた。 Fitbit よりも Apple Watch に近い睡眠サイクルを出す傾向にあった。
- 改善点が多い。特にバッテリー残量が少ない状態からの充電時間がかかりすぎる。毎日使うにはストレスを感じた。
外部リンク:Ultrahuman Ring (公式)
関連記事:Ultrahuman Ring Air対アップルウォッチ生体計測データ比較レビュー
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※このレビューは 2023 年 9 月から 10 月にかけて行いました。最新ソフトではこの記事で書かれた内容と相違があるかもしれません。
※このレビューではアプリは iPhone 版を主に使用しました。 Android 版でも大きな違いはないと想定してレビューしました。
※レビュー時点での Ultrahuman Ring Air Firmware Version: 1.00.04.16 - 1.00.04.32
※この記事のデータ測定結果は診断結果ではありません。データを過信せず不調を感じた際にはかかりつけ医に相談してください。
ガーミンVivosmart5対アップルウォッチ生体計測データ比較レビュー

このシリーズではスマートウォッチやスマートリングの健康管理・生体データ計測機能をレビューしています。
この記事では Garmin Vivosmart 5 とアップルウォッチを比較します。
結論は、アップルウォッチの方が全体的に信頼性が高かったといえるでしょう。
歩数計測は両デバイスとも高い一致性を示しました。呼吸数と血中酸素の計測ではガーミンはアップルウォッチに比べて低い値を示しました。逆に最大酸素摂取量についてガーミンはアップルウォッチより高めの値となりました。
統計解析も含めた詳しい比較結果をすべて公開します。
結果を知りたい人はまとめをお読みください。
レビュー方法

デバイスの装着と計測時間
上図に示すイメージでレビューを行いました。
左腕に Apple Watch (Series 8) と Garmin Vivosmart 5 を両方装着しました。左手は私にとって非利き手です。
日中、夜間を通して装着しデータを取り続けました。例外としてシャワー中のバッテリー充電 (18:00 - 20:00), 毎朝の体重計測時など一部非計測の時間帯があります。
計 1 か月間 (31 日間) データをとりました。
比較項目とデータ解析ツール
メーカーのアプリを使ってまずは基礎データを集計します。そして私の個人 PC にデータを手動でダウンロードしてさらに細かく分析します。
比較する項目は下記のとおりです。
- 歩数 (Steps)
- 安静時心拍数 (RHR: Resting Heart Rate)
- 心拍変動 (HRV: Heart Rate Variability)
- 呼吸数 (Respiratory Rate)
- 血中酸素 (Oxygen Saturation, SpO2)
- 皮膚温 (Skin Temperature)
- 最大酸素摂取量 (VO2 Max)
外部リンク:ヘルスサイエンス | Garmin (各計測項目の正常範囲などを参考)
ガーミンは心拍変動と皮膚温を計測することができません。そのため今回の比較の対象外です。
分析のメインは折れ線グラフによる日々の傾向比較です。両デバイスが同じ傾向で計測できているか確認します。
同じ傾向かどうか、統計的には正の相関があるかどうかで判断できそうです。そのため相関係数 R も計算します。
一部の項目は t 検定による平均値の比較も行います。
この記事は論文ではないので本格的な統計処理はやりません。しかし簡易分析でも「両デバイスに有意な(計測の)差があるか」、「日々の計測が安定しているかどうか」といったことが t 検定でわかります。
どちらの計測精度が良いか、といった評価ではなく製品ごとのクセを明確にしたいと思います。
計測精度の観点でいえば、アップルウォッチの精度は良いはずです。アップルウォッチは医療機器認証(心電図のみ)を取得しています。
データの扱い方や解析の補足説明についてはまとめページの項目を参照願います。
関連記事:データ解析のための補足(各社ヘルストラッカーの健康管理機能をレビュー)
グラフによる傾向比較結果
歩数

上図は歩数の比較結果です。
アップルの点とガーミンの点にわずかなずれはあるものの、同じような計測結果になっています。
相関係数 R = 0.997 で最高レベルの正の相関です。 Fitbit Charge 5 以上の結果でした。
両デバイスともに歩数は同じように計測しているといえます。
安静時心拍数

上図は安静時心拍数の比較結果です。
ガーミンの方が明らかに低い値となっています。安静中で 50 台はかなり低いですね。
相関係数 R = 0.328 で弱い正の相関があります。グラフをぱっと見て同じ傾向を示しているとは思えませんが。
ガーミンのアプリを見て観察したところ、安静時心拍数は睡眠中の値を採用していそうです。オーラリングと似ています。
ただし、オーラリングは睡眠中の最低心拍数でした。ガーミンは最低心拍数をそのまま採用しておらず、睡眠中のどこかといった感じです。平均値でもなさそうです。
一方、アップルウォッチは日中のどこかの値です。一日に何度も値が更新されますが、寝ている間の値は採用されません。
起床中と睡眠中の値を使っているので違う結果となるのはある意味当然でしょう。
呼吸数

上図は呼吸数の比較結果です。
ガーミンの値が明らかに低いです。すべての計測結果が 12 から 14 BrPM の間でした。ただ最低でも 12 以上なので睡眠時無呼吸症候群の疑いはなさそうです。
相関係数 R = 0.465 は弱い正の相関が認められます。それなり同じ傾向を示そうとしています。
では両デバイスの違いはどのように出たのでしょうか?

上図はある夜の呼吸数の比較結果です。
同じ時間帯で比較すると、アップルウォッチの計測範囲は 12.5 - 19.5 (BrPM), ガーミンの計測範囲は 10 -15 (BrPM)でした。
ガーミンは平均値を出す元の値ですらアップルウォッチより低い傾向にありました。
使っている心拍センサーの違いが今回の結果の違いになった可能性が高いでしょう。
血中酸素

上図は血中酸素の比較結果です。
ガーミンの計測値がアップルウォッチよりも明らかに低いです。
相関係数 R = 0.006 も全く相関しているとはいえない値です。
つまりアップルウォッチとガーミンで同じような傾向で計測していないということになります。

上図はある夜の血中酸素の比較結果です。
血中酸素は呼吸数と同じようにサンプリングに違いがあります。アップルウォッチ 1 時間に数回計測、ガーミンは毎分計測です。
アップルウォッチの計測範囲は 88 - 100 %, ガーミンの計測範囲は 83 - 100 % でした。ただしガーミンは計測できていない時間帯がありますね。
最低値も比較すると結果が違うのがわかります。アップルウォッチが計測した最低値は 88 %, 時間帯は 0 時台でした。一方ガーミンは最低値 83 %, 時間帯は 3 時台でした。
血中酸素を同じように計測しているとはとても思えません。
相関係数は夜間の計測結果の平均値の比較ですが、相関なしという結果は平均値比較以前の問題ですね。
最大酸素摂取量

上図は最大酸素摂取量 (VO2 Max) の比較結果です。
Apple (Measured) はワークアウトで計測した結果、 Apple (Estimated) は安静時心拍数から推定した値です。同じく Garmin (Measured) は計測値、 Garmin (Estimated) は安静時心拍数から推定した値です。
ガーミンの方は何度マニュアル計測しても値が出ずに終わってしまい 31 日間のうち 2 点しかありません。どちらも 42 (mL/kg/min) でした。
一方、アップルウォッチの計測値は 30 台後半でした。アップルウォッチはワークアウトを設定すれば 10 分程度の徒歩でも最大酸素摂取量の値を計算してくれます。
推定値同士の相関係数 R = 0.287 と相関しているかどうか微妙な結果でした。
ガーミンの計測値、推定値どちらもアップルウォッチの計測値より高いです。ガーミンに限らずアップルウォッチ以外の製品は基本的にどれも 40 以上の値を出します。
VO2 Max が 40 以上という結果が正しければ、 40 代の私にとっては平均以上の値で心拍機能が比較的良いことになります。その結果は嬉しいですがやはり正しく計測・推定しているのか?と疑ってしまいます。
アップルウォッチの計測結果が一番実態を表しているといえます。
統計処理の結果
難しい話になるので結果だけ知りたい人はここを飛ばして最後の「まとめ」をお読みください。
歩数

上図は歩数の t 検定の結果です。上図は箱ひげ図と呼ばれています。
黒いダイアモンド型の点は外れ値と呼ばれます。平均から外れている値です。アップルウォッチ、ガーミンともに外れ値が 2 個、箱の上側に出ています。
どちらも 2 万歩以上の値です。旅行先で歩いたのがこのように外れ値判定されました。確かに自宅でデスクワークしている日と比べたら 2 万歩は異常ですね。
平均値に統計的な差はありませんでした。傾向分析でほぼ一致した計測結果となっているので平均値もほぼ同じ値となっています。
歩数についてはアップルウォッチとガーミンで同じように計測しているといえます。
安静時心拍数

上図は安静時心拍数の t 検定の結果です。
統計的に有意差があるという結果がハッキリでました。両デバイスの平均値には統計的な違いがあります。 p < 0.001 という結果は乱暴に言えば「この差が偶然起きた確率は 0.1 % 未満」です。
ガーミンの平均値はアップルウォッチより低いです。
アップルウォッチは日中の安静時心拍数、ガーミンは睡眠中の安静時心拍数、この違いが平均値の違いでしょう。一般的に睡眠中の方が心拍数は下がります。
ただしアップルウォッチは外れ値があります。上と下の両方にありますね。
ストレスを抱えて仕事をしたり、休日でリラックスしていたことがこのような結果になっているのでしょうか?
呼吸数

上図は呼吸数の t 検定の結果です。
統計的に有意差があるという結果がハッキリでました。両デバイスの平均値には統計的な違いがあります。 p < 0.001 という結果は乱暴に言えば「この差が偶然起きた確率は 0.1 % 未満」です。
ガーミンのグラフは箱ひげ図ではなく「線」になっています。なぜでしょうか?
傾向のグラフを見ると、ガーミンの計測値のほとんどが 13 BrPM です。同じ値ばかりなので幅を持たせることができず線になっています。
そして 12, 14 BrPM の値が外れ値となっています。 1 BrPM 違うだけで外れ値判定は厳しすぎるでしょう。
一方アップルウォッチは平均値がガーミンより高くかつ幅があります。
どちらのデバイスを信頼したいか?と聞かれれば「アップルウォッチ」と答えたくなります。
血中酸素

上図は血中酸素の t 検定の結果です。
統計的に有意差があるという結果がハッキリでました。両デバイスの平均値には統計的な違いがあります。 p < 0.001 という結果は乱暴に言えば「この差が偶然起きた確率は 0.1 % 未満」です。
ガーミンの平均値はアップルウォッチより低い。そのことは傾向分析でも指摘されました。そもそも生の計測値ですらアップルウォッチより低い結果でした。
アップルウォッチの方が信頼できそうです。
まとめ
Garmin は VO2 Max が計測できるトラッカーの先駆けだったと記憶しています。 GPS も含めて計測技術に強みがあると思っていました。
しかし今回のレビューを通じて生体データの計測については改善が必要だということがわかりました。
ガーミン Vivosmart 5 は心拍変動と皮膚温が計測できません。また他の項目も最大酸素摂取量以外はアップルウォッチよりも低めの計測結果となりました。
この記事をまとめましょう。
- 歩数:日々の傾向について非常に高い正の相関が見られ、計測結果はほぼ一致していた。また t 検定による平均値の比較でも両デバイス間に統計的な差異は見られず、どちらも同じように歩数を計測していた。
- 安静時心拍数:両デバイスの計測結果には弱い正の相関が見られただけでなく、統計的な有意差も見られた。この違いはアップルウォッチが日中の値、ガーミンが睡眠中の値を採用しているためであった。結果としてガーミンの平均値はアップルウォッチよりも低くなっていた。
- 呼吸数:ガーミンはアップルウォッチよりも低い値を示し、計測範囲も狭かった。平均値の比較でも統計的な有意差が見られた。この違いは使用されている心拍センサーの差異による可能性がある。
- 血中酸素:ガーミンはアップルウォッチよりも明らかに低い値を示し、両デバイス間での相関性はほとんど見られなかった。また平均値においても統計的な有意差が見られた。アップルウォッチの方が信頼できそう。
- 最大酸素摂取量:計測結果には明確な差が見られた。ガーミンはアップルウォッチよりも高い値を示したが、そもそもきちんと計測できず全体の傾向を確認することは難しかった。一方でアップルウォッチの計測値は安定しており実態をより良く表していた。
関連記事:Garmin Vivosmart 5 vs Fitbit「睡眠の質」表示比較レビュー
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※このレビューは 2023 年 5 月に行いました。最新ソフトではこの記事で書かれた内容と相違があるかもしれません。
※このレビューではアプリは iPhone 版を主に使用しました。 Android 版でも大きな違いはないと想定してレビューしました。
※レビュー時点での Garmin Vivosmart 5 Firmware Version: 2.94
※この記事のデータ測定結果は診断結果ではありません。データを過信せず不調を感じた際にはかかりつけ医に相談してください。


